2017年6月18日日曜日

「漢字の起源」をUP

 今はどうなのか知らないが、白川静氏の研究集大成である「字統」など三部作が平凡社から発売された頃、当時のマスコミはアイドルのごとく大騒ぎして持ち上げていた。しばらくして「字統」を読んでびっくり。それほどありがたがる必要はないんだよと言いたくて、「漢字の起源」をUPした。
 記憶には限りがあり、文字は失わないために記録したり、知識を共有するために作られた。家畜の数を数えたりするのが最初ではなかったか。管理の必要がなければ生まれなかっただろう。社会階級の出現という人間の組織化が文字を必要としたのである。何が必要かは社会によって異なる。必要がなければ言葉も生まれないし、文字にも現れない。白川氏の主張するように呪術や神の祭りの必要から生まれた文字もあるだろう。しかし、文字の成立そのものをそこに帰すのは行き過ぎだ。自然への恐れや神の祭りは文字の成立をはるかにさかのぼるはず。なぜ、その頃から生まれなかったのかということになる。縄文日本に文字は生まれなかった。小さな部族がバラバラに、比較的平等に暮らしているような社会は文字を必要としないだろう。
http://www.eonet.ne.jp/~temb/3/kanji.htm